わたしたち性同一性障害特例法を守る会が参加している「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」名義にて、声明文を公表いたしました。
女性・子供の権利を守り、そして性同一性障害当事者を守るため、今後も活動していきます。
皆様のご理解・ご協力とご支援が必要です。よろしくお願いいたします。

経産省トイレ裁判の最高裁判決&特例法の手術要件についての声明

2023年7月25日

女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会
平等社会実現の会  
白百合の会  
性別不合当事者の会  
性同一性障害特例法を守る会  
女性スぺースを守る会  
及び 有志一同  

 当連絡会は、性犯罪被害者の支援を長くしてきた「平等社会実現の会」、バイセクシャルなど様々な性的少数者の集まりである「白百合の会」、性同一性障害当事者の集まりである「性別不合当事者の会」及び「性同一性障害特例法を守る会」、女性スペースを守る等のために成立し、レズビアン等多くの性的少数者を含み市井の女性らを中心とした「女性スペースを守る会」、そして各界識者や様々な背景をもつ有志の連絡会です。私たちは、この7月11日のいわゆる経産省トイレ裁判の最高裁第3小法廷の判決及びこの9月27日に最高裁大法廷で弁論が予定されている性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」と言います。)の手術要件について、共同してこの声明を出します。最高裁判所を初めとして、政府、国会、各政党、各メディア、関係する論者・各界、何よりも国民の皆さん、どうぞお読みいただき、ご理解をお願いします。

  1.  7月11日の最高裁判決は、あくまで性同一性障害がある一職員の、当該職場の女子トイレについての判断であり「特定人の特定トイレに関する」ものです。また「性同一性障害の人」についての判決であり、女性というジェンダーアイデンティティをもつ身体が男性の全般についての判断ではありません。まして、公衆の女子トイレの利用を公認した判決ではありません。
    まず、このことを確認していただきたく存じます。
  2.  特例法は、身体違和が耐えがたい性同一性障害の人のうち、性別適合手術を終えた人が生きていくために法的性別を変更できる法律です。手術は、法的性別を変更したいからするのではなく、心から望んで受けるのです。ですから、「断種手術」ではありません。また、本人らにとって手術要件があることが、社会から信頼される根拠になっています。
    ですから、手術要件が違憲とされる余地はありませんし、特例法の改正は不適切です。
  3.  万一、特例法の手術要件が違憲と判断されると、男性器があるままの法的女性が当然に現れます。更に、「性自認のみに基づいて法的性別を変更できる」という制度につながります。
    このような「性自認至上主義」を選択してしまった国々では、女性スペースや女子スポーツ等々で混乱と悲劇が続いています。米国では各州により方向性が大きく異なって混乱が続いています。イギリスでは女子刑務所や学校での混乱があり2022年、方針を大きく転換しました。
    今、日本が、性自認至上主義を後追いするべきではありません。
  4.  いわゆる「トランス女性」が排泄等のために女子トイレ等に入る場合と、性犯罪を目的とした男性が入る場合との区別はつきません。そして性犯罪は圧倒的に男性から女性に対してされるものであり、性犯罪被害者のトラウマはとても重いものです。大切なのは防犯であり、その大前提は女性スペースの確保、そして「男性器ある人はすべて入れない」とするルールです。
    ところが、手術要件が違憲とされて効力を失うと、性犯罪を目的とする男性は「女性のふり」ではなく「トランス女性のふり」で女性スペースに入れることになります。
    女性の安心安全という生存権が侵害されます。
  5.  特例法の手術要件が違憲となると、性別適合手術をせずして法的性別が変更されることとなり、その後なのに「生物学的には父となる女性」「生物学的には母となる男性、出産する男性」がありえることになります。これでは社会的に大きな混乱が生じることは明白です。
  6.  一部の男性が、男子トイレで「トランス女性」に対して揶揄や時に暴力を振るうことがあり、それこそが排除であり差別です。「性の多様性」を否定する態度であり、これこそ改めていくべきなのです。
    よく考えて下さい。「トランス女性」の女子トイレの利用を公認しようとする思想運動は、それと同様なのです。いわゆる「女性装」「女っぽい」人に対して、「男子トイレから出ていけ」という意味になるのですから、性の多様性を理解しない差別なのではないでしょうか。
  7.  日本では、6月16日「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が成立しました。
    この法律は、性別(セックス)と「らしさ・社会的役割」であるジェンダーとを混同してはならないとすることを背景とし、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」と規定され、女性の安心安全という生存権への配慮が求められたものでした。
    「トランス女性」の人格の尊重は、まず男性にこそ求められるものであって、生得的女性との関係でその権利法益と衝突する場面では、適切に調整されるべきです。

以上のとおりを声明とします。